お墓の卒塔婆とは?その立て方から処分の方法までを解説

2020年12月16日

お墓にある卒塔婆というものを知っていますか。名前は聞いたことがあっても、詳しい意味や成り立ちについてご存知という方は珍しいでしょう。
この記事では、卒塔婆の成り立ちから立てる意味、そして処分方法まで詳しくご紹介します。




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卒塔婆はインド発祥の仏塔


卒塔婆は日本独自のものではなく、古代インドにその起源があるとされています。インドの言葉で「ストゥーパ」と呼ばれる仏塔が起源で、後に中国・日本へと伝わりました。本来は権力者の塔として日本における五重塔のような豪華な卒塔婆を建てていたそうですが、建てる規模に限界が生じてきたこと、多額の費用がかかることなどから、現在見られるようなシンプルな木の板をベースにしたデザインへと変化していきました。

現在の卒塔婆には塔であった時の名残として、五重の塔を思わせる5つのくぼみがあります。ひとつひとつのくぼみは「空・風・火・水・地」を意味していて、仏教において宇宙全てを構成するとされている5つの属性を表現したものです。



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卒塔婆の持つ意味とは


現代において卒塔婆を立てることにどのような意味があるのでしょうか。ここからは、卒塔婆を立てる意味や種類、そして卒塔婆に書き入れられた文字についてご紹介します。

卒塔婆を立てる理由

卒塔婆を立てることは仏教において善い行いとされ、法事やお盆などの際に立てる風習があります。古代インドでは「ストゥーパ」に基づいて築かれた五輪塔が故人への供養を表しており、時代によって卒塔婆に変化しましたが、変わらず同じ意味合いを持つと考えられているからです。
現代では卒塔婆は立てることそれ自体が善行とされ、供養する人の善い行いになると同時に、故人の供養にもなるとされています。ただし、地域や仏教の宗派によっては卒塔婆を立てる風習がありません。そうした状況では卒塔婆を立てることに不快感を示す人もいるかもしれません。卒塔婆を立てる際には、まずお寺の住職に確認をすることが大事です。

卒塔婆の種類

卒塔婆は主に5つの種類があります。

・板塔婆
一般的に多く使用されているのが「板塔婆」です。板塔婆は、お墓の後ろに建てるもので1m~2mほどの木の板でできています。

・角塔婆
角塔婆は、墓石が出来上がるまでの間の代用として使われる場合もあり、四角柱で鋭くとがった先端が特徴の形です。また、寺院の建物を新築や再建した際に行われる「落慶法要」にも使われています。

・水塔婆
杉やヒノキの木から作られた塔婆で寺院の法要時に立てられます。水塔婆はその名の通り、川に流して供養する場合があるので大きさは約30cmと小さめです。

・七本塔婆
初七日から四十九日までは計7回の忌日法要があります。七本塔婆はその際に使用される卒塔婆です。地域によって初回に7本まとめて建てる場合や1回ごとに建てる場合など作法が異なるので注意が必要です。

・生木塔婆
杉を素材として使うことが多いため、杉塔婆とも呼ばれます。生木を使用した塔婆で、最後の年忌法要「弔い上げ」の際に使用される卒塔婆です。

また、卒塔婆を立てるための「卒塔婆立て」にも種類があります。そもそも卒塔婆は直接地面に刺して立てられていました。しかし、強風で煽られ卒塔婆が倒れるケースがあるため、最近では石材やステンレスなど耐久性の高いものが主流です。



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書かれている内容

卒塔婆には「梵字・戒名・年忌・経文・施主名・供養年月日」が記載されています。

・梵字
先ほど紹介した宇宙の構成である5つの属性を表した文字です。他に法要などに関わる13の仏の中から供養年月日に所縁がある1文字を記載しています。

・戒名
故人がなくなった際に、仏の弟子として僧侶に名付けて貰う名前で、年忌は故人の亡くなった日付が記載されます。

・経文
宗教上の教えが書かれている書物で釈迦の教えである「経」と、仏教徒の戒律「律」、2つの解説を記した「論」の3つの内容に分類されます。経文は宗派によって記された内容が異なります。

・施主名
卒塔婆を依頼し建てた方の名前です。供養年月日は卒塔婆を建てた日付が裏側に記載されます。

文字は本来墨で書き入れられますが、近年では費用を抑えるため文字がプリントされた卒塔婆が増加傾向にあります。



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卒塔婆はいつ立てるべきか


卒塔婆は命日や年忌法要などの法事・法要のタイミングで立てることが一般的です。一方で、お彼岸やお墓参りに卒塔婆を立てる・立てないに地域差があることも事実です。ここでは、一般的によく卒塔婆が立てられる法事について、そして立てるために必要な費用についてご紹介します。

追善供養

追善供養とは故人への供養全般を意味しますが、法要や法事のみを指して使う場合もあります。追善供養には中陰供養と年忌法要の2つの大きな儀式が存在します。中陰供養は、故人が亡くなり四十九日までの間に7回ある法要です。仏教において亡くなった人は四十九日までの間、閻魔様に転生するための裁きがあると考えられています。中陰供養は、裁きの結果が良い方向に行くよう善行することです。
年忌法要は亡くなってから節目にあたる法要を指します。三回忌までは僧侶と参列者を呼んで執り行い、七回忌以降は遺族だけの法要に規模を縮小させている場合が多いです。

こうした故人の命日である一周忌や三回忌の法要を執り行い、残された家族・親族が善い行いをすることで、それが故人の善い行いにもなるとするのが仏教の教えのひとつです。さらに、その行いは巡り巡って自分たちに戻ってくるとされ、仏教の教えでは卒塔婆を立てる事自体が善い行いとされています。つまり、卒塔婆を立てることが追善供養そのものなのです。

施餓鬼会

施餓鬼会は寺院に僧侶が集まってお勤めする儀式の1つで、餓鬼に施しする意味を持ちます。六道の中の1つ「飢餓道」に落ちた故人へお供え物を捧げることで、現世にいる自身へ極楽往生を祈る儀式が施餓鬼会です。この法要で卒塔婆が立てられる理由も追善供養です。施餓鬼会の法要が善い行いにつながるようにとの願いが込められています。

施餓鬼会は宗派や地域によって行う時期は異なり、基本的にはお盆の時期に執り行うことが多いです。中にはお盆とお彼岸の2回行う場所もあれば、寺院ではなく僧侶が檀家の家を訪ねて行うケースもあります。内容に関してもさまざまで、読経、仏法を問い聞かせる「法話」やトークイベント、食事会などコミュニケーションを取る場として大切な行事の1つに考えられています。

1本あたりの費用

卒塔婆1本あたりの相場は「約2,000円~10,000円」程度です。正確な費用を事前に確認したい場合は、法要前に寺院で確認することをおすすめします。

卒塔婆の料金「塔婆料」は、半紙に包んで白い封筒に入れて僧侶に渡すのが基本です。最近では塔婆料専用の不祝儀袋も販売されているため、そちらを利用しても構わないでしょう。お布施と一緒に渡すのであれば、必ず別々に封筒を用意して「お布施」「塔婆料」とそれぞれ表書きを書きます。お墓参りの際に建てる場合は、寺院を訪ね、住職に挨拶をして卒塔婆を取りに行ったタイミングで渡すようにします。



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卒塔婆を建てる際の注意点


立てること自体が善い行いとされる卒塔婆ですが、仏教のなかにはそもそも卒塔婆を立てない宗派も存在しています。また、地域によっては誰が卒塔婆を立てるかにも違いがあるようです。

誰が卒塔婆を立てるのか確認しておく

卒塔婆は誰が立てるかに決まりはなく、施主や他の家族が建ててもかまいません。ただし、地域や風習により立てる本数が異なる場合もあります。例えば、法要の出席者全員が1本ずつ建てる場合もあれば、施主のみが1本だけ建てる場合もあります。

また、故郷にあるお墓に卒塔婆だけを立てて供養とすることも可能です。お墓が遠方にあるなどの事情でお墓参りができない場合には、卒塔婆供養を代行してくれるお寺もあります。こうしたケースもありますので、誰が立てるかよりも、「供養をしたい」という気持ちの方が大切なのかもしれません。

浄土真宗では卒塔婆を建てない

仏教の宗派の1つ「浄土真宗」は卒塔婆を立てて供養する慣習がありません。仏教では故人を極楽浄土へ導くために追善供養が行われます。しかし、浄土真宗の考えでは追善供養を行わずとも「阿弥陀仏」の力ですぐに極楽浄土に行けるという考えがあるため、卒塔婆を立てて追善供養を行う慣習がありません。しかし、浄土真宗であっても卒塔婆を立てる慣習がある地域も存在しています。そのよう場合においては、宗派の教えを優先するか、故人を偲び供養する気持ちを優先するかはご自身のお気持ちと相談して決められると良いでしょう。



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卒塔婆の処分方法


お供えしたお花が傷んでしまったら替えの花を用意するのと同じく、傷んだ卒塔婆も交換・処分する必要があります。しかし、卒塔婆はお花のように簡単に処分する訳にはいきません。では、どのようにして卒塔婆を処分すればよいのでしょうか。

入れ替えをするタイミング

卒塔婆は法要が終わったタイミングで処分したり交換したりするのが習慣とされていますが、お盆やお彼岸でお墓参りする際に入れ替えるのが一般的です。また、卒塔婆を建てておく期間にはルールがなく、前の卒塔婆に追加する形で新たに立てても構いません。

ただし、経年劣化によって卒塔婆が朽ちてしまうと、お墓の周辺を汚したり見栄えを悪くしたりする要因の1つになります。見栄えが悪くなったとしても供養する気持ちが無くなるわけではないので、処分するのに多少抵抗があるかもしれません。しかし、新たな卒塔婆を立て続けるためのスペースを確保するためには思い切って処分することも時には必要な判断となるでしょう。

処分は管理者に依頼する

卒塔婆を処分する際には、お墓を管理する寺院や霊園の管理者に依頼して処理してもらう方法が一般的です。処理に用いられる方法として最もよく知られているのが「お焚き上げ」です。行事にもなっているお焚き上げは一般的に無料で行いますが、中には有料の場合もあり、相場は1本につき1,000円前後です。しかし、首都圏のお寺では簡単に火を使うことができなくなっています。このように、お焚き上げを行っていないお寺もあるので注意してください。

供養に使った卒塔婆を管理者側に処理してもらうことを負担に感じる方もいらっしゃるかもしれません。その際には自身で処理して廃棄することも可能です。自身で処理する場合には、細かく裁断してお住まいの地域で指定されている方法で一般ごみとして処分します。以前は、自宅の庭などで卒塔婆を焼却処分することが可能でした。しかし、平成16年の焼却炉規制により自身で燃やすことは禁じられました。万が一燃やしてしまった場合は、罰則・罰金の対象となりますので、絶対にご自身で焼却処分をしないようにしてください。



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卒塔婆を立てる際の手続き


卒塔婆についてご理解を深めていただいたところで、ここからは卒塔婆を立てる際の具体的な手続きについてご紹介します。

卒塔婆を建てる日時の相談

まず相談するのが卒塔婆を建てる日です。卒塔婆には先にご説明したとおり文字が書き入れられます。したがって、急に卒塔婆を立てようとしても、当日すぐに用意することはほぼ不可能でしょう。お寺に相談をする最適なタイミングは立てる2週間前くらいがおすすめです。また、お盆やお彼岸など霊園・寺院が忙しくなる時期に関してはより余裕をもって相談するといいでしょう。

卒塔婆費用の相談

次に相談することは費用についてです。立てる本数によって費用が異なりますので、事前に相談しておきましょう。塔婆料は場所によって決まっている場合がほとんどですので、相談した際に率直に値段を聞いてみると良いでしょう。

お墓参りに行けない場合

先述の通りお墓参りが難しい場合にはお寺や霊園の管理者に代わりに卒塔婆を立ててもらうことが出来ます。お墓参りに行けなくとも、供養をしたいとうお気持ちが伝われば快く依頼を引き受けてくれるはずです。ただし、不要なトラブルを避けるためにも、塔婆料をどのような方法でお渡しするかは明確にしておきましょう。



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まとめ


お墓参りの機会が少なくなりがちな昨今です。故人の供養と同時に自身の善行になる卒塔婆供養、深く考えることはひとまず置いておいて、お墓参りの際には故人を偲び卒塔婆を立ててみてはいかがでしょうか。

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