「大切な人」

2017年7月3日

その方とお話ししたのは

奥様の四十九日法要の日でした。

突然の別れで、まだ気持ちの整理もついていない

そんな中での納骨でした。

 

ご親族の方々が帰られた後に

その方は静かに話してくれました。

「僕は、妻が病気になってから20年

毎月の治療代を稼ぐために

一生懸命働いてきました。

働くのは、苦ではありませんでした。

むしろ生き甲斐でした。

でも、妻が亡くなってからは

働く意欲がなくなってしまいました。」

そう言って涙ぐんでおられました。

 

私は「奥様は、とても幸せな方だったんですね。」

と言ったのです。

でもその方はこう言いました。

「いいえ違います

幸せだったのは、妻のほうではなかったんです

僕のほうだったんですよ・・・」と。

 

そして、あれから二年・・・

もうじき、奥様の三回忌がやってきます。

先日、お墓参りでお見かけしました。

「仕事が忙しくて・・・」

と笑ってご挨拶してくださいました。

 

あんなに素敵な夫婦関係を築いてこられたその方と、

残されたお子様に、これからも

幸せな未来を…と願わずにはいられません。

 

 

(柏中央霊園)