遠くではなく、公共の交通機関で日帰りで気軽に行くことができるような、自宅の近くにお墓を建てることが良いのはわかります。ですが、好き勝手な場所にお墓を建てることはできません。お墓には、『墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法:1948年・昭和23年)』があり、”埋葬、火葬または改葬を行おうとする者は、厚生省令で定められたところにより、市町村長(特別区の区長も含む)の許可を受けなければならない。(第5条)”つまり、都道府県知事の許可を得た「墓地」にしか墓を建ててはならないと、法律で厳しく制限されているからです。
では、「墓地」にはどういった場所があるのでしょうか?どこに建てればよいのか、自分の場合はどうかを考えていきましょう。
墓地の種類
- ≪寺院墓地(寺院境内墓地)≫
- 寺院が所有する墓地なので、寺院の境内が隣接していることがほとんどです。寺院墓地に入る場合は、その寺の住職の面接をうけたのちに檀信徒契約(檀家になること)をします。その寺の檀家になると、お墓の管理が行き届いていますし、法要や日常的な僧侶の回向など、先祖代々手厚くお祀りしてもらえます。
しかし、
- 宗教・宗派が限定される
- 住職の人柄や考えに左右される
- 維持費が明確でなく住職が変われば維持費も変わることがある
- 墓石の形状・正面文字などに制限がある場合がある
- 土地が限られているため空きがない場合がある
- 管理料の他に、お布施や寄付・寺の行事への参加など、別途費用がかかる場合もある
など、お寺によっていろいろと決まりごとがあるので、住職との面接の際には確認・相談致しましょう。
- ≪民営墓地(民営霊園・民間霊園・公園霊園)≫
- 営利目的での経営はできないので、株式会社ではなく宗教法人や公益法人などによって運営される、民間の墓地です。また、墓地(霊苑)は公共性や永続性が求められ、宗教や宗派を問わず運営されます。民間の墓地は眺めの良い場所にあることが多く、駐車場や休憩所などの設備が充実しており、さまざまな区画が用意されています。また、設置するための条件も厳しくはないですし、区画も常時募集されています。
ですが、
- 公営に比べて管理料などが高め
- 運営業者によって管理に差がある
- 公共の交通機関では行きにくい場所にある場合がある
など、デメリットもあります。
- ≪公営墓地(公営霊園)≫
- 公営墓地は、都道府県や市町村などの自治体、または、自治体から委託された公益法人が管理・運営しています。自治体が運営しているので、お墓を建ててしまえば永続性が保証されますし、管理料などの維持費も安く宗派や宗教にも制限はありません。
しかし、
- ご遺骨が必要
- 募集期間が限られており、募集の条件も厳しい
- 公募・抽選によって当選するので、競争率が非常に高い
- 墓石にも制限があり、好きなように建てられるわけではない
- 霊園墓地が広くて大変
- 古いものだとバリアフリーになっていない
- 公共の交通機関では行きにくい場所にある場合がある
など、さまざまな条件があって簡単に入手できるわけではないようです。
その他の墓地を選ぶポイント
1.宗旨・宗派
寺院墓地の場合、宗派や宗教が決まっていますから、その墓地に入る場合、その宗派に改宗することになります。また、民間霊園の一部では宗教(在来仏教)が決まっている場合もあるため、確認が必要です。自分だけでなく、今後、同じ墓に入る家族や親類がいる場合は、よく話し合うことが必要です。
2.アクセス
アクセスの良い場所のお墓・墓地を選ぶのは重要なことです。車があるうちは霊園駐車場の大きさ・位置等だけ考えておけば良いかもしれませんが、車を運転できなくなれば公共の交通機関を利用しなければいけません。
また、お参りに来てくれる方のことを思えば、駅やバス停からの距離や本数、徒歩での勾配の有り無しなども注意しなくてはいけません。立地や交通アクセスが不便だと、自分がお墓の住人になったあと、マメにお墓参りしてもらえなくなってしまいます。
霊園の中には、最寄りの駅まで無料送迎してくれるサービスをしてくれるところもあり、ご高齢者の方には選ぶポイントの一つとなっているようです。
3.費用(初期投資+維持費など)
墓地の永代使用料+墓石工事代金の初期投資費はとても重要ですが、毎年支払うことになる管理費などの維持費も大事です。特に維持費は、自分の子孫が払うことになるため、自分だけで決めるのではなく、まわりとよく相談して決めましょう。
4.バリアフリー
施設に段差がないことは重要なポイントです。若いうちは気にならなかった段差でも、年をとったら足を引きずったり杖や車いすを利用することになります。緩やかなスロープになった墓地が良いのですが、段差がなくても勾配がキツイと大変です。
5.設備等(駐車場など)
街中にある墓地の場合は、駐車場がないこともあります。また、お墓参りに行った際に、トイレや休憩所はあるか、お花やお線香は購入できるかなどにより、自分で備品を用意しなければいけない手間もかわってきます。
6.環境(景色・管理状況)
霊園の中には管理事務所がないばかりか備品も用意されてない所もあります。和泉家石材店でご案内できる霊園はほとんど全てに管理棟があり、管理人が常駐しており、安心して墓参が行えます。